着物を着ない人にとっては着物は苦しいと思われる。
が、着物が苦しいのではなく、着方が苦しいのだ。
いや、苦しい着方をしているといった方がよい。
苦しい着方とは?
苦しい着方になる原因は3つ。
1.紐の位置が悪い
2.とにかく紐をキツく絞めたらいいという誤解
3.着付士さんに任せぱなし
1.紐の位置が悪い
人間の身体には締めると苦しい箇所があります。
その箇所に紐をしてしまうと苦しいだけでなく、気分が悪くなったり時には倒れてしまうこともあります。
その場所というのはみぞおち部分と胸の上。
まずひとつめ。
長襦袢の紐や帯枕の紐がみぞおちに当たっていませんか?
特に帯枕の紐はなんとなくの位置で紐を結んでしまいがちなんですがけっこう重要です!
枕の紐は背中にピタッとつけるためにもなるべく帯の中へ中へ上から押し込みましょう。
ふたつめは、胸の上。
私が他装着付けをよりレベルアップしようと思い参加した講座で
下のイラストのように胸の上に紐をするというやり方を教わったことがありました。
そこそこ生徒さんがいるお教室でした。
私は心地よい着付け方法を習っていたので驚愕したのを覚えています。
生徒同士で相モデルになって着せあいをし、レッスンという数十分間なのに、
モデルをしていた方の気分が悪くなっておりました。
これを式の間の数時間以上着続けるなんて考えただけで地獄。
絶対やめましょう!!
じゃあ、苦しくないのはどこ?
それは、アンダーバストラインです。
着る時に息を思い切り吸い込んで肺を膨らませます。
前から紐をかけて後ろで交差した時に後ろでぎゅっと締めて
あとは緩まない程度に前に帰ってきて紐を絡げます。
この位置ですとこれまで何十人と着付けをしてきて苦しかったと言われたことはありません。
それでも苦しいと感じる人は普段から姿勢が悪いということがあります。
胸下から腰骨上まで真っ直ぐに固定されるという状態に慣れていないため
普段使わない筋肉を使うことになり疲れるのである。
私も着物を着始めた当初は内臓が圧迫される感があったのだが
単に姿勢が悪かったからだと今なら思えます。
それも着物を頻繁に着ていくことで自然と姿勢が矯正され、
今では全く苦しくなく過ごせています。
2.とにかく紐をキツく絞めたらいいという誤解
これは自分で着る時もだけど、、人に着せてあげる方に知って欲しい。
とにかく崩れないようにどの紐もキツく締めてしまうのはNG!
紐は前から後ろにまわして交差させる時だけギューッと締め、
あとは緩まない程度の力加減で前に戻ってきて結びます。
渾身の力でギューッとするのは腰紐だけ!
正しい腰紐の位置ならどれだけギューッと締めても苦しくありません。
正しい位置は骨盤の骨の⒉3cm上。
ここにはなんの臓器もないため、苦しくないというわけです。
長襦袢の胸紐はある程度キツめに締めますが、
大きく息を吸って肺を膨らませておけば
呼吸が浅くなることはありません。
そのほか着物の衿合わせをした後に紐をする時は
初めから緩まない程度の力加減にします。
帯を締める時は帯の下線だけ締めます。
帯の上は余裕を持たせておくことで苦しくない上に、
帯揚げや帯枕の紐が綺麗に帯の中に収まってくれます。
3.着付士さんに任せぱなし
最後に着物を着せてもらう方に注意!
着付士さんといってもベテランの方からちょっと習ったくらいの方までさまざまです。
結婚式場などでは専属の着付士さんがおられ、経験を積んだ方が担当されますが
1年に1度しかない成人式は別!
大人数相手にとにかく人手が必要な成人式はベテラン、新人入り混じってます。
そして素早く何人もの振袖を着せなければいけません。
なので普段通りに着付けられるとは限りません。
そういった時に着せてもらう方が
なんか苦しい、違和感を感じると思ったなら伝えてください。
ここで遠慮してたら後々ツラくなって嫌な思いが残ることになります。
他人に自分に苦しさは言わないと伝わりませんからね。
最後に
着物は苦しいから着たくない
という声を聞くととても残念な気持ちになります。
着物は苦しいものじゃないよーと思っていただけたら嬉しいです。